ハスミワインのあるレストラン特集-Part32-
宮島口の駅を降りると、焼き穴子の香りがふわっと漂ってくる。誰もが足を運んでしまう、「あなごめし うえの」。明治から続く駅弁屋さんであることも、広島の人なら誰でも知っています。しかし、その「うえの」が営む旅館が、宮島の対岸の小高い丘の上にあることは、意外と知られていないのかもしれません。
それが、宮浜温泉の【庭園の宿 石亭】です。
宮島口から車で10分ほど、小高い丘をのぼっていくと、日本庭園に囲まれた宿が静かにたたずんでいます。はじめて訪れたとき、敷地に入った瞬間に空気が変わる感じがして、「ああ、ここはそういう場所なんだ」と思いました。華美な演出があるわけではなく、ただ庭がきれいに整えられていて、瀬戸内の海が遠くにのんびりと見えている。それだけなのに、なんだかもう満足してしまいそうになります。そして何と言っても、上野社長が揃えた希少なデンマーク家具たち。庭園を眺めながら、ゆったりと椅子に座り、日頃の疲れを癒すことができます。
お料理は、夕食も朝食も本当に丁寧な食事。季節はもちろん、時期の移ろいに合わせて献立をつくっているとの事。穴子や瀬戸内の旬の魚介、地の野菜、ひとつひとつに手間がかかっているのが伝わってきます。食べ終わっても胃が重くならないのは、素材の質と仕事の丁寧さのせいだと思います。
岡田ソムリエがセレクトしたワインやお酒を、瀬戸内の穴子や、季節の魚介と合わせてみると、ヨーロッパのの小さな造り手のワインが、なぜかこの広島の宿の料理にとても自然に寄り添ってくれるんです。土地のものを大事にするという姿勢が、どこか通じているのかもしれません。また、食後に行けるバーもとても素敵。
館内には、読みたくなる本が並んでいて、好きな椅子に座って好きなだけ過ごせます。温泉もあって、庭を眺めながらぼーっとする時間もあって、なんというか、ここにいる間は「次に何かしなければ」という気持ちがどこかへ行ってしまうんです。
また来たいと思う宿というのはたくさんあるのですが、石亭はその中でも特別な場所になりました。広島に行く機会があれば、一泊だけでも時間をつくってみてほしいです。














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